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東京高等裁判所 昭和27年(う)3111号 判決

控訴人 被告人 手束正夫 外一名

弁護人 阿部与三郎 外一名

検察官 小出文彦関与

主文

本件控訴を棄却する。

当審における未決勾留日数中各拾五日をそれぞれ原審の本刑に算入する。

当審における国選弁護人阿部与三郎同信部高雄に支給した訴訟費用はそれぞれ被告人手束正夫、同若沢才一の負担とする。

理由

本件控訴の趣意は被告人等並びに被告人手束正夫の弁護人阿部与三郎、被告人若沢才一の弁護人信部高雄各提出にかかる控訴趣意書に記載されたとおりであるから、ここにこれを引用しこれに対し、次のように判断する。

被告人手束正夫の弁護人阿部与三郎の控訴趣意第一点について

原審第二回公判調書には公判をした年月日の欄に清水簡易裁判所と云う記載があつて、公判をした年月日の記載がないことは所論のとおりであつて、右は刑事訴訟規則第四十四条に違反するものではあるが、右の「清水簡易裁判所」と云う記載は、次欄に「公判をした裁判所」として記載すべきを誤記したものであることは明白であり、又右第二回公判が昭和二十七年七月二十二日に行われたことは、第一回公判調書における次回期日の指示告知に関する記載、右第二回公判調書における調書作成年月日の記載、判決原本に附記された宣告年月日の記載に徴し十分にこれを認めることができるから、右公判調書の記載の過誤は未だ同調書を無効ならしめるものではなく、又右違法が判決に影響を及ぼすものとも認められない。

(その他の判決理由は省略する。)

(裁判長判事 谷中菫 判事 荒川省三 判事 堀義次)

弁護人阿部与三郎の控訴趣意

第一点原審は刑事訴訟規則に定められた公判調書に記載すべき事項を欠いて居ります。

規則第四十四条によれば、公判調書には公判をした年月日を記載しなければならないのに原審第二回公判調書には公判をした年月日下に清水簡易裁判所とあり其年月日の記載がありません(記録六十三丁)

同公判調書末尾に昭和二十七年七月二十二日と記載があるから同日、公判開廷されたと推定されるのでしようが、公判期日と調書整理日とが必ずしも一致いたしませんから右末尾の年月日は公判をした年月日の記載に該当致しません。

されば記録上第二回の公判年月日はないのですから此の重要な事項を欠く原審の手続は違法で破棄さるべきものと信じます。

(その他の控訴趣意は省略する。)

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